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vol.16『甘い本〜相対的形容詞の多様な使い方〜』

vol.16『甘い本〜相対的形容詞の多様な使い方〜』
2023/8/13 コミックマーケットC106 日曜東テ-07b
モノクロ20p, 頒布価格 400円

 こんにちは。今回は「甘い」という言葉について取り上げます。味覚の話だと思って冊子を手に取った方がいらっしゃいましたら、ごめんなさい。 「甘い」という言葉を使って文章を作ってくださいと質問されたら、あなたはどのような文章を作りますか?「このケーキは甘い」「考えが甘い」いろいろと作ることができると思います。
 なぜ私が「甘い」という言葉に興味を持ったのか。例えば、「甘い声(優しい、心地よい声)」という言葉は、英語でも直訳で「sweet voice」と言います。これは他の言語でも似たような表現をするのですが、すごくないですか?
 言語の成り立ちを考えたとき、これらは互いに輸入されることなく、それぞれの言語で比喩表現が発達しているにも関わらず、同じように「甘い」と「声」という言葉を並べることで、意味が通じるです。
 なぜこのようなことが可能なのかというと、人間の本能として、甘い物を食べたときの気持ちや感情が、優しいとか心地よいとかに繋がっている気がします。これを言語学的に言うと「共感覚的比喩」と呼びます。
 一方で、「考えが甘い(浅はかな、軽率な考え)」という言葉については、英語では「sweet thought」という言葉では表すことができません。「甘い」を否定的な意味合いで使うのはどうやら日本語だけのようです。
 このように、日頃何気なく使っている「甘い」という言葉の使われ方を分解してみる冊子です。

■味覚の「甘い」には4つのパターンがある
・A群:味覚の「甘い」の4パターン
■味覚を使って、別の感覚(五感)を表現する共感覚的比喩
・共感覚的比喩マップ
■味覚を使って、五感以外の感覚や感情を表現する比喩
・「甘い」「甘え」の語源
■「甘い考え」は、なぜ日本語独特の言い回しなのか

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